特定技能制度の施行以降、外国人材の受入れを行う企業が急増しています。
しかし、「登録支援機関にすべて任せておけばよい」と誤解している企業も少なくありません。
実際には、企業自身にも多くの法的責任と支援義務が課されています。
本記事では、特定技能外国人の受入れ体制を整備するうえで重要な、登録支援機関と企業の役割分担について詳しく解説します。
特定技能制度の基本構造
特定技能制度は、人手不足分野における外国人労働者の受入れを目的とした制度で、
「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類があります。
特定技能1号の受入れにおいては、登録支援機関または受入れ企業自身が、
外国人の生活支援を行うことが法律で義務付けられています。
支援内容は以下の10項目で構成されており、実施状況は入管庁への報告義務があります。
- 生活オリエンテーション
- 生活支援(住居・公共手続きなど)
- 日本語学習支援
- 相談体制の整備
- 定期的な面談
- 監査対応 ほか
企業の役割と責任
受入れ企業は単に雇用主としての立場にとどまらず、労働・生活両面での安定支援を行う責務を負います。
主な企業側の役割
- 労働契約書・雇用条件書の作成と明示
- 安全衛生・職場環境の確保
- 生活面での協力(住宅提供、交通手段の支援など)
- 外国人従業員の定期面談・状況確認
企業が「形式的な支援」に終始してしまうと、
外国人が孤立したり、早期離職につながるケースもあります。
登録支援機関の役割
登録支援機関は、企業に代わって特定技能外国人への支援を行う専門機関です。
入管庁に登録され、支援計画の策定・実施・報告までを一貫して担います。
主な支援内容
- 支援計画の作成・届出
- 行政手続きの補助
- 日本語教育や生活オリエンテーション
- 外国人からの相談対応
- 定期報告・監査対応の記録管理
登録支援機関は、企業からの委託を受けて支援を実施しますが、
企業側も内容を把握し、実施状況を確認する義務があります。
企業と登録支援機関の連携ポイント
受入れ体制整備で最も重要なのは、情報共有と責任分担の明確化です。
- 支援計画の内容を双方で確認し、現場に落とし込む
- 外国人本人への説明責任を明確にする
- トラブル発生時の対応フローを事前に協議しておく
登録支援機関任せにせず、企業も「一緒に支援する立場」であることが基本姿勢です。
よくある課題と改善策
| 課題 | 改善策 |
|---|---|
| 支援内容が形式的になっている | 支援実施記録を定期的にレビューする |
| 登録支援機関との連携不足 | 月次報告会などの定例ミーティングを設ける |
| 外国人の不安・不信感 | 通訳支援・母国語説明資料を活用し理解促進 |
| 離職リスク | 現場担当者と支援機関が連携しフォロー体制強化 |
実務に活かせるチェックリスト
- 支援計画の内容を理解している
- 登録支援機関との契約内容を把握している
- 支援実施の記録・報告体制がある
- 外国人からの相談窓口を社内に設置している
- トラブル時の対応フローが定義されている
最後に
特定技能外国人の受入れは、単なる雇用契約ではなく、企業・登録支援機関・外国人本人の三者が協力して築く関係です。
企業が主体的に関わることで、外国人が安心して働ける職場づくりが進み、結果として定着率の向上や組織の活性化にもつながります。

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